データで社会課題を解きにいく。PLAIDが京大・京都市観光協会の共同研究に参画します

はじめまして。PLAIDで広報を担当している柏原です。
京都と聞くと、『ガメラ3』の最終決戦が純粋想起されるタイプの人間です。
『シン・ウルトラマン』、楽しみですね。

共同研究に参画することになりました

さて、先日発表したプレスリリースにある通り、PLAIDが京都大学と京都市観光協会の共同研究に参画することになりました。われらがKARTEは、ウェブサイトやアプリの訪問者の行動をリアルタイムに解析して一人ひとり可視化し、それぞれにあわせた自由なコミュニケーションをワンストップで実現します。京都市観光協会が運営する公式ウェブサイト(京都観光NaviおよびKyoto Official Travel Guide)にKARTEを導入し、その活用を中心にして共同研究が展開されます。

地元紙の京都新聞にも取り上げていただきました。PRとしては嬉しい限り。

わたしたちは何をするのか。プレスリリースから引用します。

本共同研究にプレイドが参画することで、これまで捉えられていなかった来訪者一人ひとりの可視化を「KARTE」のテクノロジーを通して実現し、データ活用による課題解決につなげます。

国や地方自治体などが観光統計を調査しており、その中には当然観光客の動向調査なども含まれています。それはマクロの傾向を把握することには有用ですが、観光客一人ひとりの行動を可視化することはできていませんでした。「京都に訪れる人の60%が清水寺にまた行きたいと思っている」という傾向が、目の前にいる人にも当てはまるかはまた別の問題です。昨日は清水寺はもういいかなと思っていても、今日たまたま見かけたSNSの書き込みをきっかけに「次もやっぱり清水寺に行きたい!」と心変わりすることもありえます。これまでの観光に関するデータの考え方では、このような観光客一人ひとりの「いま」や感情の変化を捉え、解析することが難しかった。

この点に、わたしたちが本共同研究に参画する理由があります。KARTEであれば、観光客の多様なデータを解析し、そのポテンシャルを最大化することができるはず。観光客の行動や感情の「いま」を捉えて可視化する。その「いま」に合ったアクションや情報をリアルタイムに提供する。これまでは測定できなかったデータを捉え、見えるようにすれば、新しい仮説や発想の創出にもつながることが期待できます。KARTEをとおして観光客一人ひとりにとってのCX向上を図り、それが京都における観光課題の解決にも貢献する、ということを示していきたいと考えています。

研究日誌を書いていくことにしました

わたしたちにとって、このような共同研究に参画するのは初めての試みです。KARTEを活用いただいているKARTE Friendsはほぼ民間企業(ちなみにPLAIDでは、KARTEを活用するみなさまをFriendsと呼んでいます。ともにエンドユーザーのCX向上に取り組む仲間、という意味合いです。定期交流会もUser meetupではなくFriends meetupとしています。素敵やん)。パブリックセクターや研究機関と共同で、社会課題の解決を目的としてKARTEを使うという機会はありませんでした。

一方でそれは、KARTEがこのようなアプローチに有用ではない、ということを全く意味しません。むしろ逆。めっちゃ使えると普段から思っていたんです。「あのサイトにKARTEが入ればこんなことできるよね」「KARTEであればこれ解決できちゃうんじゃない?」こんな会話はわたしたちの日常です。サーベイや意識調査ではマクロな傾向しかわからない。ユーザーへのインタビューを全員にするわけにはいかないし、何よりそれではその人の行動の文脈や今を捉えられない。しかしKARTEであれば、これまで見ることが難しかった、つまりデータとして解析することのできなかったユーザーの行動を人軸で捉えられるようになる。人々の行動をどのように知り、どのように活かすか。わたしたちはKARTEで、その地平を開きたいと考えています。公共性が高く、社会課題とされる領域でもKARTEの可能性を拡げることができるという意味で、今回の共同研究は貴重な機会だと捉えています。

めったにない機会だし、データの力で観光における課題解決を目指すとかとってもエキサイティングな試みだし、きちんと成果だけでなくプロセスも含めて知っていただきたいな、ということで、この記事に至るわけです。これから継続的に研究日誌というかたちで発信していきます。KARTEを知らなかった人には、もちろんこれを機会に知ってほしいし、既に知っているという方も、「お、こんなこともやっているんだ」と新たな一面をお見せできたらいいな、と。

第1回では、今回の共同研究テーマと今の京都観光が抱える課題、そこでKARTEが貢献できることを書きます。そのあと、初回の講義の模様についても紹介します。

DMO・オーバーツーリズム・データ活用

今回の共同研究におけるテーマは「DMOとしての観光マーケティング手法」。

DMOとはDestination Management/Marketing Organizationの略です。観光庁は「日本版DMO」を以下のように定義しています。

「日本版DMO」は、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人です。

今回でいうと、京都市観光協会がDMOということになります。DMOが日本で注目されるようになったのは、2014年12月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で取り上げられたことがきっかけとされています。その元ネタはUNWTO(世界観光機関)が2010年に出した“Survey on Destination Governance”というレポートで、国外でも公になってからまだ10年も経っていない新しい概念だということがわかります。

なぜDMOが注目を浴び、その必要性が叫ばれているのか。トラベルボイスのこちらの記事では「外国人旅行客の受け入れ体制の強化」「マーケティング、プロモーションの見直し・強化」「行政主導の観光振興のジレンマ」の3点がその背景として挙げられています。

政府は「2020年に訪日外国人観光客4000万人」という目標を掲げています。インフラ・人材の整備と拡充はもとより、観光客に選ばれるエリアとなるための観光資源の磨き上げとターゲットへの訴求が求められています。そのためには、従来型のマーケティングアプローチをアップデートし、とくにデジタル活用を強化する必要がある、ということでしょう。

DMOがそのエリアにおける観光地づくりのハブとして機能し、観光地経営および観光地マーケティングの手法自体を洗練化していく。観光庁が挙げる日本版DMOの役割にはデータの収集・分析、データに基づく戦略策定が含まれており、日本版DMOには民間企業が行っているようなデータに基づくマーケティングを展開・主導していくことが期待されています。当然、KARTEはこの部分で大きな貢献ができると考えています。

ところで、「外国人旅行客の受け入れ体制強化」に関連して、近年「オーバーツーリズム」という問題が指摘されています。オーバーツーリズムは、京都市観光協会の「京都の観光産業の現状と課題」でもトピックの一つとされています。

SNSが普及した今、クチコミやInstagramの写真で旅行先を決める人も多くいます。混雑情報やネガティブな経験はあっという間に世界中でシェアされ、それが客離れを起こす要因にもなってしまいます。さらに、混雑が地域住民の生活にも悪影響をもたらしてしまえば、住民の怒りの感情の矛先が観光客に向いてしまうことも考えられます。それはさらなる客離れを引き起こし、結果としてエリアの衰退をもたらしてしまう。この負の循環は、一度陥ってしまうと簡単にはリカバリーできなさそうです。オーバーツーリズムは、訪日観光客にどんどん来てもらおうとしている今だからこそ、真剣に向き合い、解決の糸口を探るべき問題といえます。

オーバーツーリズム対策について、京都市観光協会は「リピーターの定着」が重要と考えています。インバウンドメディアのやまとごころのの記事から引用します。

また、京都が抱えるオーバーツーリズム対策の観点から、リピーターをいかに定着させるかがますます重要になるため、1人の人を追跡して再来訪するまでの実態を把握することも大切だと考えています。

リピーター定着がオーバーツーリズム対策につながる理由として、同じ記事内で「訪問経験が増えるほど、人気のエリア以外にも足を運んでくれる傾向がある」とあります。

もとより、オーバーツーリズムの解消につながるリピーター定着を図るためには、観光客一人ひとりの多様なデータを把握する必要がある、ということです。リピーターとなる観光客は、過去にどのような経験をしていたのか。人軸で様々なデータを束ねて解析することが、いま京都で起きている観光課題の解決につながるとされています。

繰り返しになりますが、KARTEは観光客の行動や感情の「いま」を捉えて可視化し、それに合ったアクションを提供することができます。京都は非常に豊かな観光資源をもつ都市です。観光客毎のニーズや趣味嗜好だけでなく、行動や心の動きをリアルタイムに把握して、豊富な観光資源とのマッチングが実現できれば、旅の満足度と混雑緩和は両立させることができるのではないか。うーん。研究はまだまだこれからですが、考えただけでもワクワクしますね。

KARTEは社会課題を解決するためのプロダクトではなく、活用いただく企業や団体の「顧客一人ひとり」の体験を優れたものにする、ということを目指しています。そのスタンスは共同研究でも変わりません。一方で、観光客一人ひとりの体験をより良くするということが、結果的に、公共的な問題つまりオーバーツーリズムの解決に貢献できるとしたら。これほどダイナミズムを感じられる仕事もそうないだろうと個人的には考えています。

今後研究がどう進展していくか、ご期待ください。わたしも楽しみです。

京大生、KARTEを学ぶ 〜講義1日目〜

ということで、共同研究キックオフの講義です。本プロジェクトをリードする尾形(右)と西田(左)からご挨拶。まずは「KARTEとは?」の説明を西田から行います。

その後は学生のみなさまに出ていた宿題についてのグループワークです。今回、KARTEを導入するのは京都市観光協会が運営する公式ウェブサイト。実際のサイトを題材にしながら、京都観光への愛着度(来訪意欲があるのか、リピーターなのか、など)によって、サイトを訪れた人の行動はどのように変化するのか、を考えます。

いつもとは多少構成を変えて、KARTEの説明を行う西田。ちなみに彼は京都市伏見区出身。バキバキの地元。なのに京大の若林先生からは「東京から来たPLAIDの西田さん」とFrom TOKYOを強調されて紹介されていたのが内輪的にはおもしろかったです。はい。

続けてグループワークに入りました。本共同研究では、サイトの言語にあわせて日本語・英語・中国語とチームを分けています。以後、3つのチーム毎に、研究課題を設定して進めていくかたちです。

日本語チームに入ったのは柏原(本人)。宿題をもとにして、サイトを訪れた人の行動について議論していくのですが、もちろんここでの話が今後のKARTEの活用方法や分析のアングルに関わってくるわけです。当然、KARTEについての質問が多くなるわけですが、みなさま非常に勘所を押させてくれています。

こちらは英語チーム。

そしてこちらが中国語チーム。京都でも近年中国からの観光客がとても増えていますので、オーバーツーリズムを考える上では外せないチームですね。メンバーには中国・台湾からの留学生の方もいます。

ということで、初回講義は終了。一番うれしかったのは、ある学生からいただいた「KARTE、早く触ってみたいです!触ってみれば、いろいろと発想が広がる気がする」という言葉。そうなんです。実際触ってみると改めてその凄さを実感できるのがKARTEなのです。これからたくさんいじくりまわしてね!

では、今回はここまで。

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